SalesforceとNVIDIAがAI戦略を強化:新推論モデル「Koa」と「Missionforce」を発表
SalesforceとNVIDIAは、NVIDIA Nemotronを基盤としたSalesforce初のCRM推論モデル「Koa」と、政府機関および高度に規制された組織向けのAIソリューション「Missionforce」を発表しました。この協業は、Salesforceが長年培ってきたCRM(顧客関係管理)のインテリジェンスとNVIDIAのAI技術を融合させ、企業の複雑な業務プロセスを効率化し、信頼性の高いAI活用を推進することを目的としています。
Koa:CRM業務の複雑なワークフローを自動化するAI推論モデル
Koaとは
Koaは、NVIDIA Nemotron 3 Superを基盤とし、Salesforceが約30年にわたり蓄積したCRM導入実績から得られた企業ナレッジをモデル化した独自の合成データセットを用いて追加学習(ポストトレーニング)を行うことで構築された推論モデルです。このモデルは、自律型エージェントが複雑で多段階なワークフローを推論し、適切なツールを活用して業務を完了できるように設計されています。
解決する課題と導入メリット
Koaの最大の特長は、企業の実際の運営方法、すなわちプロセス、ワークフロー、業務ポリシーに基づいた推論が可能な点です。これにより、商談の更新、ケースのルーティング、フォローアップのスケジューリングといった実際のCRM業務タスク群を自動化・効率化できます。
Salesforceのモデルベンチマーク「CRM Benchmark」では、Koaは既にCRMアクションに関する主要モデルと同等以上の性能を、エラー率を3分の1に抑えて達成しています。これにより、情報システム担当者は、より正確で信頼性の高いCRM業務の自動化を実現し、従業員は反復的なタスクから解放され、より戦略的な業務に集中できるようになります。
活用シーンの例:
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会計業務支援:会計士の専門知識を広げ、税制、財務データ、顧客事情を考慮した複雑なタスクを段階的に整理し、適切なツールを活用しながら対応します。(1-800Accountantの事例)
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顧客対応の個別最適化:住宅購入や資産管理など、顧客の目標の背後にある複雑さや文脈を理解し、必要な情報、ツール、ポリシーを踏まえて推論することで、知的で個別最適化された対応を可能にします。(Baxter Credit Union (BCU)の事例)
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ビジネス出張手配の効率化:出張に関する無数の要素を正確に推論し、複雑で多段階の問題を解決することで、優れたサービス提供を支援します。(Engineの事例)
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ヘルスケア業務の効率化:情報調整、複雑なプロセス対応、適切な次のステップの実行といった長期にわたる多段階のワークフローを効果的に管理し、患者ケアに集中できる時間を創出します。(UChicago Medicineの事例)
対象企業と提供時期
Koaは、SalesforceのAgentforce(AIエージェントプラットフォーム)の一部として、SalesforceのCRMを利用するあらゆる規模の企業を対象としています。現在一部のパイロット顧客向けに提供されており、米国リージョンにて2026年冬に一般提供が開始される予定です。
セキュリティと信頼性
Koaの学習には顧客データは一切使用されていません。見込客の生成、商談の見極め、ケースの解決など、Agentforceエージェントが行う推論、ツールの活用、意思決定のスキルを反映した合成シナリオのみから構築されています。これらのシナリオは、製造、金融サービス、ヘルスケア、旅行など14以上の業界にわたる実際の企業ワークフローを再現しています。
Salesforceはモデルの重みを自社で管理し、ポストトレーニングと推論のすべてを自社のトラストバウンダリー(信頼境界)内で実行します。これにより、推論時に顧客データが外部に出る心配がなく、高いセキュリティと信頼性が保証されます。
Missionforce:政府機関・高度規制組織向けにAIの統制とセキュアな運用を実現
Missionforceとは
Missionforceは、NVIDIAのオープンモデルおよびアクセラレーテッド コンピューティング(GPUなどの専用ハードウェアで計算処理を高速化する技術)を、政府機関や高度に規制された組織に導入するソリューションです。これにより、モデル、データ、デプロイ環境に対する完全な統制権を顧客に提供します。
解決する課題と導入メリット
多くの政府機関や高度に規制された組織がAIを導入する際、モデルと学習データの自社管理、およびパブリックインフラに一切触れないプライベートクラウド、機密ネットワーク、完全なエアギャップ環境(物理的に外部ネットワークから完全に切り離されたネットワーク)といった専用環境でのデプロイが必須となります。Missionforceはこれらの厳しい要件に対応し、機密性の高い業界の顧客が自社の重要なデータを用いてミッション特化型モデルを学習、チューニング、デプロイできるようにします。
Missionforce Operations向けエージェントは、ポストトレーニングされたNVIDIAモデルによって駆動され、調達、サプライヤー管理、ロジスティクスなどの複雑な政府機関のワークフローをデジタル化・自動化します。組織の運用データや専門用語に基づいて学習されたこれらの特化型モデルにより、エージェントはエアギャップ ネットワークを含む顧客環境内でバックオフィス プロセスを推論し、アクションを実行できるようになります。
対象組織と提供時期
Missionforceは、政府機関、および金融やヘルスケアなどの高度に規制された組織を対象としています。Missionforce Operationsは米国リージョンにて一般提供中であり、ポストトレーニングされたNVIDIAモデルは2026年10月に一部の顧客向けに提供予定です。
企業にとっての意義と今後の展望
Salesforceの会長兼CEOマーク・ベニオフ氏は、「Koaでは、企業のビジネスが実際にどのように機能するかについて蓄積してきた知見をモデル自体の中に組み込みました。これはこれまでとは異なる種類のインテリジェンスであり、すべてお客様のトラストバウンダリー内で動作します」と述べています。
NVIDIAの創業者兼CEOジェンセン・フアン氏は、「NVIDIA Nemotronのオープンモデルは、Salesforceが数十年にわたる企業の専門知識をKoaという特化型AIへと転換し、推論を行い安全にアクションを実行できるCRMモデルを生み出すための基盤となっています」とコメントしています。
これらの発表は、AIが単なる汎用的なツールではなく、企業の特定の業務知識や専門性を深く理解し、安全かつ自律的にアクションを実行する「エージェンティック エンタープライズ」への変革を加速させることを示唆しています。
導入に関する情報
KoaおよびMissionforceの料金体系については、現時点では公開されていません。
詳細情報や導入に関するお問い合わせは、Salesforceの公式ウェブサイトをご確認ください。
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Salesforce公式サイト: http://salesforce.com/jp
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Salesforceニュース&インサイト: http://salesforce.com/jp/news/
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Agentforceについて: https://www.salesforce.com/jp/agentforce/
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Missionforceについて: https://www.salesforce.com/jp/news/stories/missionforce-military-fellowship-announcement
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NVIDIA Nemotronオープンモデルについて: https://www.nvidia.com/en-us/glossary/open-models/
