ポートランド国際空港の変革を支えたデジタルワークフロー
米国オレゴン州のポートランド国際空港(PDX)で進められているターミナル・コア再開発プロジェクト(TCORE)において、Autodeskのソリューションがデジタルでつながるワークフローを実現し、複雑な設計・施工の連携や大規模なマスティンバー(大断面集成材:大規模な建築物に使われる、木材を貼り合わせて強度を高めた建材)屋根の建設、エンボディドカーボン(Embodied Carbon:建築物の建設から解体、廃棄までのライフサイクル全体で排出される二酸化炭素量)の削減に貢献した事例が発表されました。
このプロジェクトは、空港を全面的に稼働させたまま、米国太平洋岸北西部でも有数の利用者数を誇る空港を大きく変革するという、極めて複雑なものでした。Autodeskのソリューションを活用したデジタルワークフローは、この難題に対し、プロジェクトチーム間の連携を強化し、施工の精度を高め、環境負荷を低減する上で重要な役割を果たしました。

Autodeskソリューションが解決する課題と実現できること
1. 複雑な設計・施工連携の効率化
大規模な建設プロジェクトでは、多くの関係者間での情報共有と調整が不可欠です。特に、空港のように稼働を維持しながらの改修では、その複雑性は増大します。Autodeskのソリューションは、以下の方法でこの課題を解決しました。
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Autodesk Revit®(レビット):建築設計、構造設計、設備設計(MEP)のためのBIM(Building Information Modeling:建築物の設計から施工、維持管理までのあらゆる情報を、3次元モデルに統合して活用するワークフロー)ソフトウェアです。既存ターミナルと将来の設計の双方を詳細にモデル化し、意思決定のためのデジタル基盤を構築しました。
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Autodesk ReCap Pro®(リキャップ プロ):現実世界の点群データを3Dモデルに変換し、設計や建設に活用するためのリアリティキャプチャソフトウェアです。リアリティキャプチャデータ(レーザースキャナーなどで現実世界の物理的な情報をデジタルデータとして取り込む技術)をモデルに取り込むことで、現実の状況を可視化し、新たな建設部分を既存施設にどのように組み込むかを正確に把握できるようにしました。
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Autodesk Forma®(フォルマ):建築・建設プロジェクトの企画、設計、施工フェーズにおけるクラウドベースのコラボレーションプラットフォームです。各チームがリアルタイムに情報へアクセスし、更新できる共通環境を提供しました。これにより、建築家、エンジニア、施工会社、発注者が単一の情報源を共有しながら協働できるようになり、プロジェクト全体の可視性が向上しました。干渉を早期に発見し、設計意図を検証するとともに、各チームが常に最新のデータへアクセスできる環境を実現します。
この共通のデジタル基盤により、分断されたファイルの使用による情報格差や認識の齟齬が解消され、プロジェクトに関わる数百社が足並みをそろえて作業を進めることが可能になりました。
2. 大規模構造物建設の精密化とリスク低減
PDXプロジェクトの中でも最も複雑な要素の一つが、約9エーカー(約3万6,000平方メートル)に及ぶ大規模なマスティンバー屋根の建設でした。この施工には、極めて高い精密さが求められます。
プロジェクトチームは、詳細なモデルを使用して、屋根モジュールのプレファブリケーション(建設現場での作業を減らすため、工場などで部材を事前に製造・組み立てておく工法)から、飛行場を横断しての輸送、そして所定の位置への吊り上げまで、施工プロセスのあらゆる工程を事前に計画しシミュレーションしました。これにより、施工開始よりも前の段階で、作業手順や物流についてチーム間の認識を合わせることができました。また、空港運営担当者や航空管制官、米連邦航空局(FAA)を含むステークホルダーに対しても、施工計画を分かりやすく伝えることが可能になり、リスクを低減しながらプロジェクトを確実に遂行できました。

3. 持続可能性(エンボディドカーボン削減)への貢献
同じデジタルモデルは、サステナビリティに関する成果の把握にも活用されました。ArupのチームはRevitモデルを分析し、ファサード、屋根、構造に使用される材料を定量化しました。これにより、曲線状の木製梁や枝分かれする鉄骨柱といった複雑な部材についても、使用材料を正確に計測することができました。
さらに、既存部分と新設部分を区別できるようモデルを整理したことで、新設する2階部分ではエンボディドカーボンを22%削減、既存の1階部分を再利用する効果まで含めると、66%削減できることを実証しました。これにより、環境目標の達成に向けた具体的な数値的根拠が得られました。
対象企業規模と導入メリット
Autodeskのソリューションは、ポートランド国際空港のような大規模なインフラプロジェクトや、複雑な設計・施工を伴う建築・建設プロジェクトを手掛ける企業に特に有効です。主な導入メリットは以下の通りです。
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プロジェクトの迅速化と効率向上:リアルタイムな情報共有と共通データ環境により、意思決定が迅速化し、手戻りが減少します。
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リスク低減:施工前のシミュレーションや干渉検出により、現場でのトラブルや遅延のリスクを最小限に抑えます。
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高い確信度での遂行:計画の整合性と最新性が維持されるため、大規模プロジェクトでも確実に遂行できます。
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コスト削減:間接的なコスト削減(手戻り削減、効率化)に貢献します。
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環境目標達成への貢献:エンボディドカーボンなどの環境負荷を定量的に評価し、削減目標の達成を支援します。
提供形態とセキュリティ、連携
Autodeskのソリューションは、主にクラウドベースのコラボレーション環境(例:Autodesk Forma)として提供されます。これにより、場所やデバイスに依存せず、チームメンバーがどこからでもプロジェクト情報にアクセスし、協働することが可能です。
セキュリティ面では、共通データ環境による情報の一元管理とアクセス制御により、プロジェクトデータの整合性と安全性が確保されます。Autodesk Revit、Autodesk ReCap Pro、Autodesk FormaといったAutodesk製品群はシームレスに連携し、設計から施工、分析まで一貫したデジタルワークフローを構築できます。
導入・問い合わせ方法
Autodeskのソリューションに関する詳細は、以下のAutodesk公式サイトで確認できます。導入に関する具体的な相談や問い合わせも、公式サイトを通じて行うことが可能です。
まとめ:デジタルワークフローが建設業界にもたらす未来
ポートランド国際空港の再開発プロジェクトは、テクノロジーによって設計と施工がより密接につながることで、プロジェクトチームがより迅速に作業を進め、リスクを低減し、より高い確信を持ってプロジェクトを遂行できることを明確に示しています。この「つながる」アプローチは、建設業界のDX推進において、効率性、精度、そして持続可能性という新たな価値を生み出す可能性を秘めています。
※本記事は、米国Autodesk社が2026年6月25日(現地時間)に発表したニュースブログ記事「Portland’s Airport Is Getting a Makeover, With an Assist From Data and the Cloud」を抄訳、再構成したものです。
