事業用自動車における健康起因事故が過去10年で3倍超に増加する中、認知機能の低下を科学的に測定・可視化し、行動変容を促すプログラム「MieruCAR」が注目を集めています。改正労働安全衛生法施行に伴い、運輸事業者には認知機能への対応が法的にも求められるようになりました。本記事では、ドライバー安全管理の新しいアプローチと、企業が実装すべきポイントを解説します。
健康起因事故の急増と経営課題
国土交通省の統計によると、事業用自動車における健康起因事故の報告件数は2013年の135件から2023年には418件(過去最多)へと、10年間で約3.1倍に増加しています。さらに懸念すべきは、この事故の深刻さです。健康起因事故を起こした運転者の約6人に1人が死亡しており、死亡した運転者の約79%は心臓疾患・脳疾患・大動脈瘤/解離の3大疾病が原因となっています。報告件数の約25%は衝突・接触を伴う交通事故に発展しており、運転者本人のみならず第三者を巻き込むリスクも高まっています。
こうした事故の背景には、加齢や疲労・ストレスによる認知機能の変動があります。注意力や判断力の低下は、本人が最も自覚しにくい変化です。従来の「体調確認」という主観的なアプローチでは、防ぎきれない事故が存在するのが現状です。
改正労働安全衛生法への対応が必須に
2026年4月1日に施行された改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)により、高年齢者の特性に配慮した措置を講じることが全事業者の努力義務となりました。新設された第62条の2では、配慮すべき「高年齢者の特性」として「認知機能の低下」が明確に列挙されています。
努力義務に罰則はありませんが、万が一労災が発生した場合、指針に沿った対策を講じていたかどうかが安全配慮義務の履行判断に影響します。運輸業界では、この改正安衛法に加えて、国交省管轄の適齢診断(65歳以上の事業用自動車運転者に義務)が既に存在しており、認知機能への対応が二重に求められる業種です。ドライバーの高齢化が進む中、認知機能の変化を組織として対応する仕組みづくりは、もはや「あればよい」段階ではなく「必須」の段階に来ています。
「見える化」と「プロの介在」による事故防止アプローチ
MieruCAR安全講習スタートプログラムは、プロドライバーの「運転脳体力」を科学的に測定・可視化し、行動変容を促す次世代型安全運転教育プログラムです。認知機能チェックツール「脳体力トレーナーCogEvo」を軸に、空間認識力・見当識・記憶力・計画力・注意力といった脳体力を評価します。
最大の特長は、測定ツール導入で終わりにしないことです。従来の安全教育は講習受講で完了する「やりっぱなし」になりがちですが、本プログラムでは交通心理士をはじめとする運転の専門家がプログラム全体に介在します。具体的には以下の仕組みが組み込まれています。
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CogEvoのデータを読み解き、個々のドライバーに認知機能の特性に基づいた気づきを提供
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定期的な講習で、認知機能データの変化と日常の運転行動を結びつけて振り返り
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管理者に対して、データに基づいた安全管理のアドバイスを実施
個々のドライバーが自分の認知機能特性を「自分ごと」として理解することで、日常の運転行動が変わります。「見えるから、変われる」というアプローチが、健康起因事故防止の肝となります。
同プログラムは国土交通省「社内安全教育認定メニュー」に2年連続(令和6年度・令和7年度)で選定されており、運輸事業者の安全管理体制強化を支援する実績を持っています。
運輸安全・物流DX EXPO 2026での展示
株式会社トータルブレインケア、株式会社日本旅行、株式会社ナンバメイトの3社は、2026年5月27日(水)〜29日(金)に東京ビッグサイトで開催される「運輸安全・物流DX EXPO 2026」にて共同出展します。会場ではMieruCARプログラムの概要説明に加え、CogEvoの5種バランスチェックを実際に体験できます。約5分で自身の認知機能の特性を確認できる貴重な機会となります。
3社の連携は、それぞれの強みを活かした総合的なソリューションを実現しています。CogEvoで認知機能を見える化し、運転教育のプロが行動変容を促し、全国ネットワークで届ける、という一貫した対応が可能になります。
実践ポイント
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早期の法制度対応:改正労働安全衛生法の施行に伴い、認知機能への対応は努力義務ではなく経営リスク対策として位置づけること
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科学的な測定と可視化:主観的な体調確認だけでなく、認知機能を客観的に測定・可視化するツール導入で個別対応が可能に
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専門家による継続的支援:一度の講習で終わらず、運転のプロが個々のドライバーの特性に基づいたフォローアップを実施することが行動変容につながる
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管理者への環境整備:ドライバー個人への対応だけでなく、管理者がデータに基づいた安全管理判断ができる体制構築が重要
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業界トレンドの把握:運輸安全・物流DX EXPOなど業界イベントを通じて、先進事例や法令動向を継続的にキャッチアップする習慣
