2035年、日本のICT市場は8,000億米ドル規模へ拡大
株式会社マーケットリサーチセンターの調査レポート「ICTの日本市場(2026年-2035年)」によると、日本のICT市場は2025年の約3,645億米ドルから、2035年には約8,016.2億米ドルへと、年平均成長率(CAGR)8.2%で大きく拡大すると予測されています。この10年間で市場規模は2倍以上になる見込みで、日本経済全体のデジタル化が加速していることを示唆しています。
ICT(情報通信技術)市場の成長を支える主な要因は、国内企業のデジタル化推進、5G・ブロードバンドネットワークの普及、クラウドサービスやソフトウェアの需要増加、企業のITインフラ更新、そしてデジタル決済の利用拡大です。特に、情報システム担当者やDX推進担当者にとって、この成長市場がどのような機会をもたらし、どのような戦略を立てるべきか理解することが重要です。

注目すべき成長分野:中小企業とBFSI
市場全体が高い成長を示す中で、特に注目すべきは以下の分野です。
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企業規模別:中小企業
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2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)10.3%と、市場平均を大きく上回る成長が予測されています。
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DX推進のポイント: 中小企業におけるICT投資の拡大は、クラウドサービスやSaaS(Software as a Service)の普及が大きく関係していると考えられます。高額な初期投資や専門的なIT人材が不足しがちな中小企業でも、これらのサービスを活用することで、会計、人事、営業管理といった業務のデジタル化を比較的低コストで進めやすくなっています。導入が容易で、運用まで任せられるサービスが、中小企業向けICT市場では特に重要となるでしょう。
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業種別:BFSI(銀行・金融サービス・保険)
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2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)9.3%で成長すると予測されています。
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DX推進のポイント: 金融業界では、デジタル決済インフラの拡大やモバイルバンキングへの移行がICT投資を牽引しています。24時間稼働する安定したITインフラ、取引データのリアルタイム処理、不正利用検知のための分析システムなどが不可欠です。また、オンライン取引の増加に伴うサイバーセキュリティ対策や、FinTech(フィンテック)との連携によるオープンな金融プラットフォーム構築も重要な課題となります。
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ICT市場の主要構成要素とDXへの活用
日本のICT市場は、ハードウェア、ソフトウェア、IT・インフラサービス、通信サービスの広範な領域を含んでいます。DX推進の観点から、それぞれの要素がどのように市場を形成し、企業活動に寄与するかを見ていきましょう。
1. 通信インフラ:5Gとモバイルがけん引
高速で安定した通信インフラは、あらゆるデジタルサービスの基盤です。特にモバイル通信の存在感が圧倒的に大きく、5Gスマートフォンの契約数は4,502万件に達したとされています。
- DX推進のポイント: 通信事業者は、単に回線契約数を増やすだけでなく、5Gの高速・低遅延通信を活用した高付加価値サービスの提供が重要です。クラウドゲーム、高精細動画配信、遠隔医療、スマートファクトリー、コネクテッドカーなど、多岐にわたる分野で新たなサービス展開が可能になります。企業向けには、5Gとクラウド、IoT(モノのインターネット)を組み合わせることで、工場設備のリアルタイム監視や物流管理、店舗データ分析など、多様なDX推進に貢献します。
2. ハードウェア:ネットワーク・サーバー・ストレージ
ネットワークスイッチ、ルーター、WLAN(無線LAN)、サーバー、ストレージといったハードウェアは、企業のクラウド化やデータ活用が進むほど、その更新・増強が求められます。
- DX推進のポイント: AIやビッグデータ処理の増加に伴い、高速・大容量ネットワークへの需要が高まります。多数の端末を安定して接続できる高性能なルーターやWLANは、オフィスや工場での生産性向上に不可欠です。また、大量の顧客情報やIoTデータなどを扱う企業にとって、保存容量と処理能力に優れたサーバー・ストレージは、オンプレミス(自社運用)だけでなくクラウド事業者側の投資も含め、DXの基盤となります。
3. ソフトウェアとIT・インフラサービス:DXの主戦場へ
ICT市場の成長は、ハードウェア販売だけでなく、ソフトウェアとサービスへ重心が移る構造を持っています。企業は単に機器を導入するだけでなく、その上で稼働する業務アプリケーション、データ分析、CRM(顧客関係管理)、セキュリティ、クラウドサービスなどを組み合わせて利用することで、初めてデジタル化を実現できます。
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DX推進のポイント: 企業の業務効率化、自動化、顧客管理、データ分析への需要がソフトウェア分野の成長を牽引します。特に、複数の業務をクラウドサービスに移行することで、大規模システムを一括購入するモデルから、月額・年額で利用するモデルへと変化し、初期投資を抑えやすくなります。
IT・インフラサービスには、システム設計、導入、保守、運用、クラウド移行などが含まれます。日本の企業には既存システムを長期間利用しているケースも多いため、レガシーシステム(既存の古いシステム)を維持しながら、新しいクラウドやアプリケーションへ段階的に移行するためのコンサルティングやシステムインテグレーション(SI)の需要が大きいと言えるでしょう。
4. 半導体:性能と省電力性が鍵
半導体は、サーバー、通信機器、スマートフォン、自動車、IoTデバイスなど、ICT関連製品のほぼすべてに不可欠です。日本の半導体生産額は2021年に前年比29.6%増加し、7,412億円に達したとされています。
- DX推進のポイント: 今後の半導体開発では、高性能だけでなく省電力性も重要な競争軸となります。データセンターやAIシステムが膨大な電力を消費するため、演算性能あたりの消費電力を下げる技術は、環境負荷低減と運用コスト削減の両面で企業のDX戦略に貢献します。
5. AI:新たな成長要因
ICT市場では、AI(人工知能)の導入も今後大きな成長要因となると考えられます。企業が生成AIや機械学習を業務に組み込む場合、AIソフトウェアだけでなく、大量のデータを処理するサーバー、ストレージ、ネットワーク、クラウド環境も必要になります。
- DX推進のポイント: AIは、業務の自動化、データ分析による意思決定支援、顧客体験の向上など、幅広い分野でDXを加速させる可能性を秘めています。AI導入を検討する際は、その基盤となるICTインフラの整備も同時に進めることが不可欠です。
競争環境と今後の展望
日本のICT市場では、IBM、Microsoft、Sony Group、Fuji Soft、NTT Data Group、Salesforce、Fujitsu、Hitachi、NEC、TISなどが主要企業として挙げられています。海外IT大手と日本の総合IT・SI企業が混在する競争構造となっています。
今後の競争では、単一の製品性能だけでなく、ハードウェア、クラウド、ソフトウェア、通信、セキュリティ、運用サービスを統合して提供できる「総合力」が企業の競争力を左右すると予測されます。
レポートがDX推進に役立つ理由
このレポートは、情報システム担当者や企業のDX推進担当者にとって、以下のような点で役立つ情報を提供します。
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戦略策定の根拠: 市場規模の予測や成長要因を理解することで、中長期的なICT投資計画やDX戦略の策定に客観的な根拠を持たせることができます。
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重点分野の特定: 中小企業やBFSIなど、特に成長が期待される分野の動向を把握することで、自社の事業戦略やターゲット顧客層の再評価に繋げられます。
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技術トレンドの理解: 5G、クラウド、AI、半導体といった主要技術の動向を把握し、自社への導入可能性や影響を検討する材料となります。
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ベンダー選定の参考: 主要企業の動向や競争環境を知ることで、ソリューション提供ベンダー選定の際の判断材料の一つとすることができます。
2035年に向けた日本のICT市場は、「通信機器やIT製品を販売する市場」から、「企業活動、金融、行政、製造、コンテンツ消費など経済活動全体をデジタル化する基盤市場」へと発展していくと考えられます。この大きな変革期において、本レポートが提供する市場情報は、DX推進の羅針盤となるでしょう。
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