FDEとは?コンサル・SIerとの違いと「最初の業務」の見つけ方 バカンがオンラインセミナーを開催

FDEとは?コンサル・SIerとの違いと「最初の業務」の見つけ方 バカンがオンラインセミナーを開催
セミナー当日の講演画面
セミナー当日の講演画面

AI活用を「PoC止まり」で終わらせないためのセミナーシリーズが始動

株式会社バカンとグループ会社の株式会社VACAN Technologiesは、2026年10月22日(木)、FDE(Forward Deployed Engineer/現場密着型エンジニア)をテーマにしたオンラインセミナーを共同で開催しました。講師は、バカンのCTOでVACAN Technologiesの代表取締役を務める田巻 流氏です。両社は今回のセミナーを皮切りに全7回のWebセミナーシリーズを開催し、企業のAI・データ活用を「PoC(概念実証)止まり」で終わらせないための実践知を発信していく予定です。

  • セミナー名:FDEとは? コンサル・システム開発との違いと最初の業務の見つけ方
  • 開催日時:2026年10月22日(木)12:15〜12:45
  • 開催形式:オンライン(Google Meet)
  • 講師:田巻 流(株式会社バカン CTO/株式会社VACAN Technologies 代表取締役)
  • 主催:株式会社バカン、株式会社VACAN Technologies

生成AIの普及に伴い、多くの企業がAI・データ活用の検討を進めています。その一方で、「PoCの段階で止まってしまう」「ツールを入れても現場で使われない」といった壁にぶつかるケースも少なくありません。両社は、要件をすべて固めてから外部に発注する従来の進め方では、現場の複雑な運用や変化についていきにくいことが一因と考えています。こうした課題への解決策として注目されているのがFDEです。もともとは米国のPalantir Technologiesが、導入先の現場に技術者を送り込み、課題解決まで伴走させる職種として広めたとされています。ただ、国内ではまだなじみの薄い概念で、「コンサルやSIerと何が違うのか」「自社ではどこから始めればよいのか」といった疑問も多いことから、FDEの考え方と現場での進め方を30分で学べる場として今回のセミナーが企画されました。

FDEが横断する4つの工程
FDEが横断する4つの工程

FDEの役割と、コンサルタント・SIerとの違い

セミナーではまず、FDEを「顧客の現場に入り込み、業務上の課題発見からシステムの設計・開発、実際の業務への定着までを一貫して担うエンジニア」と定義しました。一般的なシステム開発では、顧客が整理した要件をもとにエンジニアが構築する進め方が多く見られますが、FDEは「そもそも何を解決すべきか」という段階から顧客とともに考える点に特徴があります。たとえば「AIで業務を効率化したい」という相談を受けても、すぐにツール選定や開発に入るのではなく、まず実際の業務を観察し、どこに時間がかかっているのか、何が負担になっているのかを明らかにします。そのうえで必要な仕組みを小さく試作し、現場の反応を見ながら改善を重ね、業務上の成果が生まれるところまで伴走するといいます。セミナーでは、その役割を次の4つの工程に整理しました。

  • 課題発見:顧客の要望をそのまま受け取らず、背景にある本当の課題を見つける
  • 要件定義:現場の実態を踏まえ、何を作るべきかを決める
  • 実装:小さなプロトタイプを素早く作り、関係者の認識をそろえながら改善する
  • 事業推進:開発で終わらせず、現場で使われ成果が生まれるまで伴走する

従来は別々の担当者や組織が受け持つことも多かったこれらの工程を少人数で横断的に進めることで、工程間の情報の受け渡しを減らし、現場で得た学びを素早く開発に反映できる点がFDEの強みとして紹介されました。

「仕事の出発点」「担う範囲」「成果の測り方」で見る違い

コンサルタントは一般に、顧客の課題を分析し、解決に向けた戦略や施策を提案する役割を担います。これに対しFDEは、課題の分析・整理にとどまらず、自らシステムや仕組みを実装し、現場で実際に活用される状態まで関わります。また、SIerが顧客と合意した要件や仕様に基づき、品質・納期・コストなどを管理しながら開発を進めることを得意とするのに対し、FDEは課題や要件がまだ明確でない段階から関わり、現場での試行錯誤を通じて何を作るべきかを見極めます。完成したシステムそのものだけでなく、それによって業務がどう変化したかを重視する点も違いとして挙げられました。

一方で、FDEとSIerは対立するものではないとも説明されました。業務課題や必要な仕組みが明確になっていない初期段階ではFDE型のアプローチを活用し、実証で有効性が確認された仕組みを大規模に展開する段階ではSIerの分業体制や工程管理を活用する、といった組み合わせが考えられるとのことです。セミナーでは、DX推進において、課題の探索・検証・定着と、大規模な拡張・保守という各段階に応じてそれぞれの強みを生かすことが重要だと語られました。

FDEとSIerの比較
FDEとSIerの比較

「最初の業務」をどう選び、どう進めるか

後半では、FDEの考え方を実際のAI・データ活用に取り入れる方法が解説されました。最初の業務選びで陥りやすい失敗として、「生成AIを導入したい」のように課題より先に手段を決めてしまう「ツール名から始める」、「全社のAI活用」など大きなテーマから入り具体的な課題や評価指標が定まらない「対象を広げすぎる」、会議室の議論だけで対象業務を決め、実際の業務や運用上の制約を十分に把握できていない「現場を見ずに決める」の3つを紹介。最初に考えるべきは「何を導入するか」ではなく「どの業務を変えるか」だと強調しました。

FDEが実践する業務ヒアリングの4ステップ

  • STEP 1 事前準備:業務に関する資料や関係者を事前に調べ、確認すべき論点を整理する
  • STEP 2 現場観察:現場で使われている画面や帳票、実際の作業を観察し、担当者の説明だけでなく実際の手順を確認する
  • STEP 3 深掘り質問:直近で問題が起きた1件について何が起きたのかを時系列で聞き、発生頻度、例外対応が必要になる場面、誰が何を基準に判断しているのかといった具体的な事実を確認する
  • STEP 4 合意形成:明らかになった課題を関係者と共有し、次に何を検証するかを決める

ここでのポイントは、現場の要望をそのまま開発要件にせず、その背景にある業務の実態や制約をつかむことです。たとえば「この作業を自動化したい」という要望があっても、実際に確認すると、作業そのものより、必要な情報を探す時間や担当者間の確認に時間がかかっている可能性もあります。こうした実態を把握することで、本当に改善すべき業務を見極め、効果的な解決策を検討しやすくなると説明されました。

「ひとつの業務、ひとつの画面、ひとつの意思決定」から始める

FDE型のアプローチでは、最初から大規模なシステムや全社的な変革を目指さず、具体的な業務を1つ選んで小さく試すことを重視します。最初の業務を選ぶ条件としては、「困りごとが具体的であること」「現場とデータに触れられること」「短期間で変化を測れること」の3点が挙げられました。対象を「ひとつの業務、ひとつの画面、ひとつの意思決定」まで絞り込むことで、関係者間で目的を共有しやすくなり、改善効果も確認しやすくなるといいます。進め方の例としては、約1週間で現場観察と業務整理を行い、続く約2週間で小さな試作を構築したうえで、実際の現場で使いながら効果と新たな課題を確認するサイクルが紹介されました。完成形を最初から目指すのではなく、検証結果をもとに改善を重ね、小さな業務で成果を確認できればその知見をもとに対象を広げていく、という考え方です。

講演の最後には、明日から実践できる取り組みとして、現場担当者とともに直近の具体的な業務事例を確認し、「困りごと」「使えるデータ」「測れる変化」を整理することが提案されました。セミナーでは、AI・データ活用を成果につなげるには技術の導入そのものを目的とせず、現場の課題を起点に実装と改善を繰り返していくことが重要だとまとめています。なお、2026年1月7日設立のVACAN Technologiesは、生成AIとデータ活用を軸に課題発見から開発・実装・定着まで一貫して支援する企業で、親会社バカンの20,000箇所超の導入実績で培った技術・現場知見を生かしてFDE型の支援を展開しているほか、専門メディア「FDE総研」「AX総研」を通じてFDEやAI変革に関する実践知を発信しています。

出典:株式会社バカン