2026年7月のサイバー脅威レポート:ランサムウェア被害が前年比87%急増、生成AIのリスクも顕在化

2026年7月のサイバー脅威レポート:ランサムウェア被害が前年比87%急増、生成AIのリスクも顕在化

はじめに:サイバー脅威の現状と企業への影響

サイバーセキュリティのグローバルリーダーであるチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの脅威インテリジェンス部門、チェック・ポイント・リサーチ(CPR)が2026年7月のグローバル脅威インテリジェンス分析結果を発表しました。このレポートは、サイバー攻撃が世界的に増加し、特にランサムウェアの被害が大幅に急増している現状を明らかにしています。

2026年7月には、世界の組織が受けたサイバー攻撃は1組織当たり週平均2,336件に達し、前月比3%増、前年比16%増となりました。日本も例外ではなく、1組織当たり週平均1,754件の攻撃を受け、前年比35%の増加を示しています。

ランサムウェア被害の異常な急増とその実態

2026年7月における最も顕著な変化は、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃数の急増です。報告された被害件数は964件に達し、前月比49%増、2025年7月比では87%増を記録しました。これは、2026年前半の月平均約672件を大幅に上回る数値であり、ランサムウェア活動が新たな段階に入ったことを示唆しています。

月次ランサムウェア被害件数(全世界)2026年1月~7月

ランサムウェアグループでは、The GentlemenとQilinがそれぞれ公表された攻撃の14%を占め、最も活発に活動していることが確認されています。

業界別に見ると、ビジネスサービスが被害全体の32.5%を占め最も多く、次いで産業・製造業が14.4%、消費財・サービスが13.4%と続いています。

業界 ランサムウェア被害の割合

地域別では北米が被害の45%を占め、ヨーロッパが28%、APACが17%と続きます。国別では米国が39.4%と突出しており、ドイツ、カナダ、英国、イタリアがこれに続きました。

国 ランサムウェア被害の割合

生成AI利用の拡大に伴う新たなデータ漏えいリスク

企業のDX推進において生成AIの活用が進む一方で、これに伴う機密データ漏えいのリスクが現実のものとなっています。2026年7月には、企業の生成AIプロンプト(指示文)の36件に1件が高い機密データ漏えいリスクを伴う内容であることが確認されました。このリスクは、生成AIツールを定期的に利用する組織の88%に影響を及ぼす可能性があります。

プロンプトの22%には、個人識別情報(PII: 個人を特定できる情報)、財務データ、ネットワーク・ITインフラ情報など、機密情報に該当する可能性のある情報が含まれていました。影響を受けた組織の70%で個人識別情報(PII)が、68%で財務データとネットワーク・ITインフラ情報が確認されています。

データの種類 組織の割合

平均的な企業ユーザー1人当たりが1カ月に95件のプロンプトを生成し、1組織当たり平均8種類の生成AIツールを使用している現状を鑑みると、このリスクは日常的な業務活動の一部となりつつあると言えるでしょう。

その他の主要なサイバー脅威動向

Eメールは依然としてサイバーリスクの主要な侵入口です。128通に1通(0.78%)がフィッシングメール(詐欺的なメールやウェブサイトで個人情報を盗む行為)に分類され、20%がグレイメール(スパムではないが、迷惑と感じる可能性のあるメールマガジンやセール情報など)やスパムメール、不審なメッセージに該当しました。認証情報の窃取、マルウェア配信、ビジネスメール詐欺(BEC: 企業幹部や取引先になりすまして金銭を詐取する詐欺)などの攻撃において、メールが起点となるケースが改めて浮き彫りになっています。

世界的に最も標的とされた業界は「教育・研究」分野で、1組織当たり週平均4,848件の攻撃を受けています。前年比14%増と増加傾向にあります。エネルギー・ユーティリティ分野は前年比20%増、ホスピタリティ・旅行・娯楽業界は前年比28%増となり、これらの業界も攻撃の増加が見られます。

世界の業界別週平均サイバー攻撃数(2026年7月、前年同月比)

地域別ではラテンアメリカが最も多くの攻撃を受け、週平均3,561件(前年比19%増)でした。ヨーロッパも週平均2,051件で前年比18%増と顕著な伸びを示しています。

地域 1組織当たりの週平均攻撃数 前年比

企業が取るべきセキュリティ対策:防止最優先のアプローチ

サイバーリスクが高まり、攻撃件数とランサムウェア攻撃が急増する中で、情報システム担当者やDX推進担当者は、現在の脅威状況に対応したセキュリティ戦略を再評価する必要があります。特に、生成AIの業務利用が拡大する中で、AIワークフロー全体でのデータ保護は不可欠です。

チェック・ポイント・リサーチのデータリサーチマネージャーであるオマー・デンビンスキー氏は、「2026年7月のデータは、サイバーリスクの高まりが複数の領域で同時に進行していることを示しています。攻撃件数が増加を続け、ランサムウェア攻撃が急激に勢いを増す中、生成AIがもたらすエクスポージャーリスクもまた、日常的な業務活動の一部となりつつあります。組織は、攻撃による影響を受ける前に、AIを駆使した防止最優先のセキュリティでネットワーク、ユーザー、データ、そしてAIワークフローを保護することが求められます」と述べています。

具体的には、以下のような対策が考えられます。

  • 多層防御の強化: ネットワーク、エンドポイント、クラウド、メールなど、あらゆる接点でのセキュリティ対策を強化し、単一の防御が突破されても次の防御が機能する多層防御を構築する。

  • 脅威インテリジェンスの活用: 最新の脅威情報(サイバー攻撃に関する情報や分析結果)を継続的に収集・分析し、自社のセキュリティ対策に反映させることで、未知の脅威にも迅速に対応できるようにする。

  • 生成AI利用ガイドラインの策定と教育: 生成AI利用における機密データの取り扱いに関する明確なガイドラインを策定し、従業員への継続的な教育を実施する。

  • ランサムウェア対策の強化: 定期的なバックアップと復旧計画のテスト、脆弱性管理、そして高度なランサムウェア対策ソリューションの導入により、被害を最小限に抑える体制を構築する。

  • 従業員のセキュリティ意識向上: フィッシング詐欺などメールを介した攻撃が増加していることから、従業員に対する定期的なセキュリティトレーニングや啓発活動を強化する。

詳細情報と関連リソース

本レポートに関するより詳細な情報は、Check Point Research Blogで確認できます。

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは、サイバーセキュリティのグローバルリーダーとして、企業の安全なAIトランスフォーメーションを保護するミッションを掲げています。同社のセキュリティソリューションに関する情報は、以下のリンクから参照できます。