双葉電子工業株式会社(本社:千葉県茂原市、代表取締役社長:有馬資明)は2026年10月23日、国産水上ドローン(USV(Unmanned Surface Vehicle)/ASV(Autonomous Surface Vehicle))の開発・製造を手掛ける炎重工株式会社(本社:岩手県滝沢市、代表取締役:古澤洋将)のグループ化を決定したと発表しました。双葉電子工業が進める無人化・自動化ソリューション事業を強化する取り組みの一つで、事業領域を水域分野へ広げることが目的です。
水域インフラでも高まる省人化ニーズ
社会インフラの老朽化や人手不足を背景に、インフラ点検、防災、海洋監視などの分野では無人化・自動化の需要が拡大しており、水上ドローン市場も今後の成長が期待されています。河川、港湾、ダム、下水道といった水域でも、点検・監視・調査業務の高度化や省人化を求める声が強まっていることから、双葉電子工業は水域分野への事業拡大を事業戦略上重要と位置づけています。
双葉電子工業はこれまで、無線通信技術、遠隔制御技術、産業用サーボ技術を中核に、産業用ラジコン機器や国産産業用ドローン関連機器などを開発・製造してきました。近年は、インフラ点検、防災、防衛、産業用途などに向けたドローン市場の成長を背景として、無人化・自動化ソリューション領域の強化を進めています。一方、炎重工は国産水上ドローン(USV/ASV)の開発を進め、自律航行技術や水域での運用ノウハウを活かしたソリューションを提供してきました。
双葉電子工業は、自社の空中ドローン関連技術や通信・制御技術と、炎重工が持つ水上ドローンおよび自律航行技術を融合することで、空と水を横断する無人システムの実現を目指します。これにより水域インフラのDXを推進するとともに、社会インフラの維持管理、防災対応、海洋安全、水域利用の高度化に貢献していくとしています。
グループ化で見込むシナジー
双葉電子工業は、今回のグループ化によって期待されるシナジーとして、次の点を挙げています。
- ドローン技術の融合による新たな価値創出:空中ドローン関連技術と水上ドローン技術を組み合わせ、空と水の双方から情報収集・監視・点検を行う統合ソリューションの開発を推進
- インフラ点検・監視分野における水域DXの推進:橋梁、港湾、河川、ダム、下水道などの点検で、空中ドローンによる広域監視と水上ドローンによる近接調査を組み合わせ、業務効率と安全性の向上に貢献
- 防災・海洋安全分野への展開:災害時に空中ドローンで被災状況を迅速に把握し、水上ドローンで現場確認や情報収集を行うことで防災・減災活動を支援。港湾・沿岸部・河川等での監視や巡回業務の高度化を通じて海洋安全分野への貢献も目指す
- 国産無人システムプラットフォームの構築:通信・制御技術と自律航行技術を融合し、空中ドローン、水上ドローン、遠隔制御システムを組み合わせた国産無人システム開発を推進。国内外の社会インフラ、防災、海洋利用分野での事業拡大を図る
両社トップが語るグループ化の狙い
有馬社長「有線給電ドローンとUSV技術で新たな需要を創出」
双葉電子工業の有馬資明代表取締役社長執行役員は、同社がこれまで主にUAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機)分野でドローン事業に取り組んできたのに対し、炎重工はUSV分野で高い技術力と豊富な実績を持つと説明しました。特に古澤社長の技術力は日本でもトップクラスだと評価しています。そのうえで、例として、有線給電により100時間の継続飛行を可能とする自社のドローン技術と炎重工のUSV技術を組み合わせることで、点検・計測をはじめとする新たな事業領域を切り拓き、これまでにない需要を創出できるとの考えを示しました。
有馬氏はまた、海上での軍事行動の監視や異常気象の観測など、安全保障の観点からもUSVをはじめとする水上領域の技術は今後ますます重要性が高まると予想されると述べ、炎重工の技術はこうした社会的要請に応える可能性があるとしています。今回の連携はドローン本体にとどまらず、ドローン周辺機器や水に関わる新たな製品・サービスの開発にもつながるものだとし、同社の製品開発ノウハウも活用しながら、新しい製品づくりのコンセプトを形にできるよう検討していく方針です。
古澤代表「AI時代に極めて重要になる技術の組み合わせ」
炎重工の古澤洋将代表取締役は、同社が東日本大震災からの復興を志して2016年に岩手県滝沢市で創業し、創業初期から水上ドローン(USV)の開発を進めてきた経緯を紹介しました。2018年にはSlush Tokyoの展示会に初出展し、現在は海洋無人機(UMV)と呼ばれる船体から回路基板、ソフトウェアまでを全般に手掛け、岩手県を中心とした東北地方で量産しています。2023年には日本水上ドローン協会を立ち上げ、会員も増え続けているといいます。開発初期は水上ドローンや海洋無人機という言葉が一般に浸透しておらず、社内では「船舶ロボット」と呼んでいたと振り返り、黎明期から市場の立ち上がりを経験できたことへの思いを語りました。
古澤氏は、日本は広大な排他的経済水域を有する海洋国家であり、航空機と船舶が人や物資の輸送、農林水産、インフラの維持管理、警備・防衛など幅広い分野を支えていると指摘しました。AIの実用化が進み、Physical AI(Robotics / Drone)の飛躍的な発展も期待されるなか、双葉電子工業が航空分野で培った知見やモータ・無線技術などと、炎重工が蓄積してきた水域環境に関する知見や水上ドローン/海洋無人機等の設計・量産技術などは、今後のAI時代において極めて重要になるとの考えを示し、共に新たな市場を切り拓き、事業を拡大していくことを楽しみにしていると述べています。
取引の概要
- 対象会社:炎重工株式会社
- 資本金:224百万円(資本準備金含む。2025年12月時点)
- 所在地:岩手県滝沢市
- 代表者:古澤洋将
- 設立:2016年2月
- 契約締結日:2026年10月23日
- 取得形態:株式取得によるグループ会社化
- 取得後の所有割合:91.9%
- 業績への影響:2027年3月期連結業績への影響は軽微
出典:双葉電子工業株式会社
